税務署から電話はなぜ?用件別の対応・折り返し方・無視のリスクを解説

スマホの着信履歴に、見慣れない固定電話の番号。調べてみたら税務署でした。この瞬間、多くの方の頭に浮かぶのは「税務調査だろうか」という不安だと思います。

結論から言うと、税務署からの電話には調査以外の用件も多くあります。そして、どの用件であっても、その場で慌てて何かを答える必要はありません。

この記事では、国税に長年勤めた元国税調査官のシロクマくんが、税務署からの電話の主な用件と、安全な折り返し方、詐欺電話の見分け方を解説します。

先に結論

・税務署からの電話の用件は、主に「税務調査の事前連絡」「申告内容のお尋ね・行政指導」「納付に関する連絡」の3つです。

・電話に出られなくても問題ありません。相手の部門名・氏名を控えて、税務署の代表番号に自分から掛け直すのが安全です。詐欺対策にもなります。

・一番やってはいけないのは、無視し続けることです。連絡がつかない状態が続くと、書面での通知や、調査官の予告なしの訪問という形に進むことがあります。

税務署から電話が来るのはなぜ?主な用件は3つ

まず全体像です。税務署が納税者に電話をかけてくる用件は、①税務調査の事前連絡、②申告内容のお尋ね・行政指導、③納付に関する連絡、の3つに大きく分かれます。

用件 内容 対応
税務調査の事前連絡 調査日程の調整。事前通知を兼ねることもある 即答不要。日程は調整できる
申告内容のお尋ね・行政指導 申告内容の確認や資料の提出依頼 内容を確認して正確に回答
納付に関する連絡 納付状況の確認や納付相談の案内 放置しない。支払えなくても相談

税務調査の事前連絡(日程調整)

調査の場合、担当者から「税務調査をお願いしたい」という趣旨の電話があり、日程調整が始まります。国税通則法(第74条の9)に基づく事前通知は原則として電話の口頭で行われるため、この日程調整の電話がそのまま事前通知を兼ねることもあります。

この電話に、その場で即答する必要はありません。予定を確認して折り返す、税理士に相談してから返事をする、で問題ありません。

事前通知で伝えられる内容は税務調査の流れ7つのステップで、調査官が誰なのか・何人なのかの読み解き方は税務調査は誰が来る?何人で来る?で解説しています。

申告内容のお尋ね・行政指導

行政指導とは、質問検査権に基づく税務調査ではなく、納税者の自発的な協力によって申告内容の確認や見直しを促す手続きです。提出した申告書について、計算に誤りと思われる箇所の確認や資料の提出依頼といった電話は、多くがこれに当たります。

ただし、軽く見てはいけません。対応の内容次第では、調査に移行する可能性もあります。質問には正確に答え、求められた資料はきちんと出してください。

調査と行政指導の違いは税務調査と行政指導の違いで詳しく解説しています。

納付に関する連絡

申告した税金が納付されていない場合など、納付状況の確認や納付相談の案内で電話が来ることがあります。

支払いが難しい状況でも、放置しないでください。分割納付などの相談窓口はあります。連絡を絶つことが、一番状況を悪くします。

誰に電話が来る?税理士がいる場合・いない場合

調査の事前連絡が誰に行くかは、税務代理権限証書(税理士が納税者の代理人であることを税務署に示す書面。申告書に添付して提出します)の状態で決まります。次の3パターンです。

  1. 証書があり、調査の通知は税務代理人に対して行われることに同意する旨の記載がある場合は、連絡は税理士のみに行きます
  2. 証書はあるが同意の記載がない場合は、本人と税理士の双方に連絡が行きます
  3. 証書がない場合や税理士を付けていない場合は、本人に直接連絡が来ます

顧問税理士がいるのに本人へ直接電話が来たときは、証書と同意欄の状態を税理士に確認してみてください。

電話に出られなかったときの折り返し方

着信に気づかなかった、留守電に「税務署です」とだけ残っていた。こんなときも慌てる必要はありません。折り返しは次の手順が安全です。

  1. 留守電や着信内容から、相手の部門名・担当者名(わかれば内線番号)を控える
  2. 掛かってきた番号にそのまま掛け直すのではなく、税務署の代表番号を自分で調べて掛け直す
  3. 代表番号から、控えた部門・担当者につないでもらう

この手順なら、相手が本物の税務署職員かどうかを、電話の入り口で確かめられます。国税庁も、不審に思った場合は相手の所属部署・氏名・電話番号を確認していったん電話を切り、税務署に問い合わせるよう案内しています。

それは本当に税務署?詐欺電話の見分け方

税務職員を装った詐欺電話は実際に多発しています。見分ける基準は、「税務署がやらないこと」を知っておくことです。

国税庁(国税局・税務署を含む)が、還付金の受取や納付のためにATMの操作を求めることはありません。納付のために金融機関の口座を指定して振り込みを求めることも、アンケートと称して電話をかけることも、AI・自動音声の電話で納付を求めることもありません。こうした要求が出た時点で詐欺です。

疑わしいと感じたら、前の見出しの手順どおり、いったん電話を切って代表番号から確認してください。調査官として電話を掛ける側にいた経験から言えば、本物の職員がこの対応で気を悪くすることはありません。

出典: 国税庁「不審なメールや電話にご注意ください」

税務署からの電話を無視し続けるとどうなる?

一番よくない対応は、無視・放置です。

調査の事前連絡の電話がつながらない状態が続くと、書面で事前通知が行われたり、調査官が予告なく自宅や事務所を訪ねて来て、その場で通知や日程調整が行われたりすることがあります。こちらの都合を聞いてもらえる余地は、電話に折り返すほうが確実に大きいはずです。

行政指導の連絡も、放置すれば対応の選択肢が狭くなるだけです。納付に関する連絡は、さらに性質が違います。放置すると延滞税がかさみ、督促を経て財産の差押えに進むことがあります。支払えない場合こそ、早めの相談が必要です。調査への対応を拒み続けた場合のリスクは税務調査は拒否できる?断ったらどうなる?をご覧ください。

調査の連絡だったら——備えの時間はある

電話が調査の事前連絡だった場合でも、調査当日までには日程調整を含めて時間があります。この間に書類の整理と税理士への相談を進めれば、落ち着いて調査を迎えられます。通知が届いてからやるべきことは税務調査の事前通知が来たら?にまとめています。

問題は、調査の連絡が来てから税理士を探し始めると、時間との勝負になることです。税務調査は、来てから慌てるものではなく、日頃から備えておくものです。

税務調査のスポット対応を税理士に依頼すると、60万円以上の費用がかかるのが一般的です。ケースによっては100万円を超えることもあります。シロクマくん税務調査あんしんメンバーシップなら、月額1,078円〜(税込。月払1,408円、年払12,936円)で、国税に長年勤めた元国税調査官の税理士が税務調査に対応します。

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税務署からの電話に関するよくある質問

税務署から電話が来たら税務調査ですか?

必ずしも税務調査とは限りません。用件は主に、税務調査の事前連絡、申告内容のお尋ねや行政指導、納付に関する連絡の3つです。いずれも、その場で即答する必要はありません。用件を確認し、必要なら折り返す形で問題ありません。

税務署からの電話に出られませんでした。折り返すべきですか?

折り返してください。ただし、掛かってきた番号にそのまま掛け直すのではなく、相手の部門名・担当者名を控えた上で、自分で調べた税務署の代表番号に掛け直すのが安全です。詐欺電話の対策にもなります。

税務署からの電話を無視するとどうなりますか?

放置してもなかったことにはなりません。調査の事前連絡であれば、書面での通知に切り替わったり、調査官が予告なく訪ねて来てその場で通知や日程調整が行われたりすることがあります。納付に関する連絡の放置は、延滞税がかさみ、督促を経て財産の差押えに進むことがあります。

顧問税理士がいるのに、本人に直接電話が来ることはありますか?

あります。税務代理権限証書に調査通知への同意の記載があれば、連絡は税理士への通知だけで済まされます。本人に直接来るのは、税理士を付けていない場合、証書が付いていない場合、証書はあっても同意の記載がない場合です。

税務署を名乗る電話が詐欺かどうか、どう見分けますか?

国税庁(国税局・税務署を含む)が、納付や還付のためにATMの操作を求めたり、金融機関の口座を指定して振り込みを求めたりすることはありません。アンケートと称する電話や、AI・自動音声で納付を求める電話もありません。不審に思ったら、所属部署と氏名を確認していったん電話を切り、税務署の代表番号に掛け直して確認してください。

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税務のシロクマくん

この記事の監修者

税務のシロクマくん(税理士)

税務署一般部門、特官部門、国税局調査部で国税調査官を長年務め、その実績と経験を活かし、現在は税理士として税金や税務調査の情報を発信中。

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