「うちの会社、税務調査に入られやすいのかな…?」
税務調査は突然やってきます。ただし、税務署がランダムに調査対象を選んでいるわけではありません。税務署が「気になる」と注目する会社には、いくつかの共通した特徴があります。
この記事では、国税に長年勤め、数多くの税務調査を実施してきた元国税調査官のシロクマくんが、税務署が注目しやすい会社の特徴を7つ紹介します。
ただし、これらに当てはまったからといって、必ず調査が来るわけではありません。適正に申告していれば何も心配はいらないということを、最初にお伝えしておきます。
税務調査の対象はどうやって決まるのか
申告データの分析で「不自然な会社」をピックアップ
税務署は、全国の法人・個人事業主の申告内容をKSKシステム(国税総合管理システム)というデータベースで管理しています。
このデータを分析して、「この会社、数字が不自然だな」「業界平均と比べてズレがあるな」という会社をピックアップし、調査対象として選定しています。
つまり、申告書の数字に不自然な動きがあると、注目される可能性が高くなるということです。
なお、税務署は「怪しい」と思って選ぶこともあれば、「定期的にチェックしておこう」という目的で選ぶこともあります。調査に入られること自体が「悪いことをした証拠」ではありません。
特徴1──売上は伸びているのに所得が伸びていない
売上が伸びたら、普通は利益も増えるはずです。ところが、売上は伸びているのに所得が増えていない、あるいは減っている場合、税務署は以下を疑います。
原価を過大に計上している。経費を架空に計上している。何らかの方法で所得を圧縮している。
例えば、前期の売上が5,000万円で所得が500万円だったのに、当期は売上7,000万円で所得が400万円。売上が40%増えているのに所得が減っている。これは不自然です。
もちろん、設備投資や広告宣伝費の増加、人件費の上昇など正当な理由があれば問題ありません。ただし、その理由を説明できる資料(契約書、請求書など)をきちんと保管しておくことが大切です。
特徴2──経費が急激に増えた
事業内容が変わっていないのに、突然経費が大きく膨らんだ場合、税務署は注目します。
経費の過大計上、架空経費の計上、プライベートな支出の経費処理。こうした可能性を疑うからです。
例えば、前期の交際費が100万円だったのに、当期は500万円。売上や事業内容が変わっていないのに5倍に増えている。これは説明が必要です。
経費が増えること自体は悪いことではありません。「なぜ増えたのか」を説明できることが重要です。契約書や領収書、取引の内容を記録した資料を残しておきましょう。
特徴3──粗利率が業界平均より低い
粗利率(売上総利益率)とは、売上から原価を引いた利益の割合です。
この粗利率が業界平均よりも大きく低い場合、税務署は原価の過大計上や売上の計上漏れを疑います。
税務署はKSKシステム上で業界ごとの平均値を把握しており、検討項目の1つとして申告書の数字と比較しています。
例えば、同じ飲食業で業界平均の粗利率が60%なのに、自社が40%。この差が大きいと、「なぜこんなに粗利率が低いのか」と疑問を持たれます。
ビジネスモデルによって粗利率は変わりますが、極端に低い場合は税務署に説明できるようにしておきましょう。
特徴4──営業利益率が業界平均より低い
営業利益率とは、売上から原価と経費を引いた営業利益の割合です。
粗利率と同様に、営業利益率が業界平均よりも低い場合、経費の過大計上や架空経費を疑われます。
例えば、同業種の営業利益率が10%なのに、自社が3%。この差があると、「経費を使いすぎているのでは」と見られます。
成長期の会社は広告宣伝費や人件費がかさんで利益率が低くなることがあります。それ自体は問題ではなく、成長戦略として説明できれば大丈夫です。
特徴5──代表者の生活水準と申告所得が合わない
代表者が派手な生活をしているのに、申告上の所得が低い場合、税務署は注目します。
会社の経費を個人的に流用している。申告していない収入がある。こうした可能性を疑うからです。
なお、SNSの投稿がきっかけで調査が始まるということはほとんどありません。ただし、調査が決まった後の準備段階で、代表者のSNSをチェックすることはほぼ行われています。ネットに疎い調査官でない限り、準備調査の一環としてSNSは確認しています。
高級車や海外旅行の投稿が直接の原因にはならなくても、申告内容の不自然さと組み合わさると、調査の方向性に影響することはあります。
特徴6──現金商売の業種
現金商売は、売上の除外(売上を隠すこと)が比較的容易です。そのため、税務署は現金を扱う業種を重点的にチェックしています。
注目されやすい業種としては、飲食店、美容室・理容室、小売店(特に個人経営)、整骨院・整体院、風俗業などがあります。
最近はキャッシュレス決済が普及し、現金の割合が減っている業種も多いです。キャッシュレス決済を導入しているからといって調査のリスクが極端に下がるわけではありませんが、調査時にデータが揃っているため説明がしやすく、調査がスムーズに進む可能性はあります。
特徴7──外注費の割合が異常に高い
外注費は比較的操作しやすい科目です。外注費が目立って多い場合、税務署は以下を疑います。
架空の外注費を計上している。外注費を使って利益を圧縮している。実態は給与なのに外注費として処理している。
特に、売上に対して外注費の割合が異常に高い場合、同じ外注先への支払いが毎月同額の場合、外注先との契約書がない場合は要注意です。
外注費と給与の区分は、税務調査でよく問題になるポイントです。実態として雇用関係にある場合、外注費ではなく給与として処理しなければなりません。給与と認定された場合、消費税の仕入税額控除が否認されるなど大きな影響があります。
外注費を計上する場合は、外注先との契約書、請求書、作業内容がわかる資料、支払いの証拠(振込記録など)を必ず揃えておいてください。
まとめ──適正申告が最大の防御
税務署が注目する会社の特徴を7つ紹介しました。
- 売上は伸びているのに所得が伸びていない
- 経費が急激に増えた
- 粗利率が業界平均より低い
- 営業利益率が業界平均より低い
- 代表者の生活水準と申告所得が合わない
- 現金商売の業種
- 外注費の割合が異常に高い
これらに当てはまったからといって、必ず調査が来るわけではありません。また、調査が来ても適正に申告していれば堂々と対応できます。
最も大切なのは、売上を正確に計上し、実際に支払った経費だけを計上し、証憑書類をきちんと保管しておくことです。
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