YouTuber・インフルエンサーの税務調査|コンテンツ配信が申告漏れ7位の理由を元国税調査官が解説

YouTuber・インフルエンサーが税務調査で狙われている

「コンテンツ配信」が申告漏れランキング7位

国税庁が公表した令和6事務年度の業種別申告漏れランキングで、「コンテンツ配信」が7位にランクイン。1件当たりの申告漏れ所得金額は1,936万円、追徴税額は462万円です。

(出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」)

YouTuber、インスタグラマー、TikToker、ライバーなど、コンテンツを配信して収益を得ている方は、すべてこのカテゴリに含まれます。

インフルエンサーの脱税は社会的にも大きなニュースになる

2023年には、インスタグラムやYouTubeなどのインフルエンサー9人が東京国税局の税務調査を受け、6年間で合計約3億円の申告漏れを指摘されました。追徴税額は合計約8,500万円に上っています。

参考:「インフルエンサー」女性9人、計3億円申告漏れを国税指摘…8500万円追徴か(読売新聞オンライン)

2025年には、フォロワー約46万人のインフルエンサーが約1億5,700万円の脱税で在宅起訴される事件も発生しています。架空の業務委託費を計上する手口で所得を隠していたとされています。

参考:「間違いありません」約1億5700万円脱税“美容系インフルエンサー”宮崎麗香被告が起訴内容認める(Yahoo!ニュース)

インフルエンサーの脱税は報道でも大きく取り上げられます。知名度が高いだけに、一度報道されれば信用の回復は極めて難しい。税務リスクは金銭面だけでなく、キャリアそのものを左右する問題です。個人事業主に税務調査が来る確率を見ても、「自分には関係ない」とは言えない状況であることがわかります。

インフルエンサーの収入は税務署に筒抜け

収益源が多岐にわたるからこそ漏れが起きる

インフルエンサーの収入源は多様です。YouTube広告収入(AdSense)、企業タイアップの案件報酬、投げ銭(スーパーチャット等)、グッズ販売、ファンクラブの月額収入、アフィリエイト報酬。

収益源が多いほど、すべてを正確に把握して申告するのは難しくなります。「この収入は申告しなくてもいいと思っていた」というケースが、税務調査で最もよく見られるパターンです。

AdSense・ASPの支払調書で収入は把握されている

Google(AdSense)やアフィリエイトASPは、報酬の支払いに関する支払調書を税務署に提出しています。誰にいくら支払ったかは、税務署がデータとして把握しています。

「海外企業からの入金だから把握されない」ということもありません。銀行口座の入金履歴と支払調書の照合で、申告漏れは容易に発覚します。

インフルエンサーが指摘されやすい経費の問題

「動画に映れば経費」は通らない

最も多い誤解がこれです。「動画に映したから経費」「撮影で使ったから全額経費」という主張は通りません。

経費として認められるのは、事業に直接関係する費用です。たとえば、企業案件でレビュー動画を制作する際に、その商材を購入する費用は経費になります。しかし、「旅行動画を撮ったから旅費全額が経費」「食事動画を撮ったから飲食費全額が経費」というのは認められません。

動画に映せば何でも経費になるなら、すべての支出が経費になってしまいます。調査官はこの点を厳しく見ます。

撮影機材と私物の線引き

カメラ、照明、マイクなどの撮影機材は、業務専用であれば全額経費で問題ありません。しかし、プライベートでも使うスマートフォンやPCは按分が必要です。

高額な機材を購入した年は経費が膨らみ、所得が急減することがあります。前年との所得の変動が大きい場合、税務署が注目するポイントになります。

衣装・美容・外見にかかる費用

インフルエンサーにとって外見は仕事道具でもあります。しかし、衣装代や美容代がすべて経費になるわけではありません。「撮影でしか着ない衣装」と「プライベートでも着る服」は区別が必要です。こうした経費が否認されると追徴税額に加え、税務調査対応にかかる税理士費用も発生するため、日頃から区分を明確にしておきましょう。

元国税調査官が教えるインフルエンサーの税務調査対策

すべての収入源を一覧にして管理する

AdSense、ASP、案件報酬、投げ銭、グッズ販売、ファンクラブ。まず、自分の収入源をすべてリストアップしてください。収入源ごとに年間の入金額を集計する仕組みを作ることが第一歩です。

経費は「事業との直接的な関連性」で判断する

経費に計上する際は、「この支出は事業収入を得るために直接必要だったか」を基準に判断してください。迷ったら経費にしない方が安全です。後で否認されるより、最初から控えめに計上する方がリスクは小さい。

収入と経費の証拠を残す

案件報酬の契約書やメールのやり取り、撮影機材の領収書、使用用途の記録。これらを整理して保管しておけば、調査が来ても慌てることはありません。

知識不足は最大のリスク — 専門家とつながっておく

インフルエンサーの多くは税務の知識が十分ではありません。知識不足による無申告や過少申告は、悪意がなくても追徴課税の対象になります。

顧問税理士を持つほどの規模ではないが、いざという時に相談できる専門家は確保しておきたい。そういう方にこそ、月額制の税務調査サポートが役立ちます。まずは税務調査の具体的な流れを知っておくだけでも、いざという時の不安は大きく軽減されます。

まとめ:インフルエンサーこそ税務リスクに備えるべき

コンテンツ配信が申告漏れランキング7位に入り、インフルエンサーの脱税事件がニュースで大きく報道される時代です。税務調査のリスクは、フォロワー数や収入の多寡に関係なく、すべてのインフルエンサーに存在します。

税務調査は、来てから慌てるものではなく、日頃から備えておくものです。

もし税理士にスポットで税務調査対応を依頼すると、費用は60万円以上。ケースによっては100万円を超えることもあります。

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なお、「税務調査を拒否したらどうなるのか」という疑問をお持ちの方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

税務のシロクマくん

この記事の監修者

税務のシロクマくん(税理士)

税務署一般部門、特官部門、国税局調査部で国税調査官を長年務め、その実績と経験を活かし、現在は税理士として税金や税務調査の情報を発信中。

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